(2007.6.10) 豊英島相対照度調査結果 福島成樹
目 的:
1 森林整備の結果としての林内光環境の把
2 林床植物の管理を検討するための林内光環境の現状把握
調査日時:
2007.6.10 13:30~14:30 (曇り)
使用機材:
照度計4台,トランシーバ5台調査方法:測定係4班と記録係1名で測定を実施した。1班は,橋の中央付近で開放地の照度を測定し,2〜4班が分担して林内照度を測定した。測定は,記録係の合図で各班が同時に行い,1地点あたり10回測定した。2班はヤマユリ保護ネット横,巨木林(2006伐採箇所),3班は新しいほだ場(エビネ),移設ほだ場,4班はコナラ更新林,広場横のほだ場,千年広場の計7箇所の測定を行った。測定にあたっては,照度計に直接日射し(直達光)があたると正確な相対照度が測定できないため,影ができるほど光が強くなった場合には日よけで受光部を覆って日射しの影響を受けないようにした。
結 果:
測定結果は図のとおり。最も相対照度が高かったのは千年広場中心で28%であった。この値は昨年6月よりやや低下しているがその差は小さかった。次に相対照度が高かったのはコナラ更新林の18%であり,これは昨年6月(31%)に比べて大幅に低下した。低下の原因としては,区域内に残した高木や周囲の高木の樹冠が拡大し,ギャップが小さくなったことが考えられる。ヤマユリ保護ネット横は,林床植物が比較的よく繁茂している箇所であり,相対照度は11%と林内としては比較的高い値を示した。このほか,巨木林(2006伐採箇所),新しいほだ場(エビネ),移設ほだ場は2〜5%と低く,昨年測定した常緑樹が混交した箇所に近い値を示した。なお,ほだ場の相対照度が13%から3%に大幅に低下しているが,森林の状況はほとんど変化していないことから,測定個所のずれが原因である可能性がある。
相対照度と森の整備:相対照度は林内の光環境を表す指標のひとつであるが,数値の変動が大きいために,それ自体を森林整備の目標とすることは適切ではない。また,林床植生に影響を与えている要因は,光環境の他にも土壌条件,水分条件,動物による摂食などが考えられ,目標とする森林の姿に誘導するためには何が必要かをよく検討することが大切である。