2007年5月の活動状況

日時:5月20日(日) 快晴
参加:20人
内容:マダケ保護ネット・ヤマユリ保護ネット設置、栽培キノコホダ木移設、植生調査、野鳥観察


○ マダケ保護ネット張り
シカ侵入防止を主な目的として、2度手間となった昨年の反省に基づき、次のような形で網を張った。ネットの高さは1.8メートルとした。まずマダケを横に渡して、そこに網目10センチのネット(海苔網)を張り、さらに地上から1メートルは黒色の網目の細かいネット(海苔の種苗育成用網)を張った。
竹やネットの固定は全てシュロ縄で行った。囲いは、昨年同様2カ所行い、面積は昨年より凡そ3割方広く
なっている。参加者の呼吸も合い、作業は極めてスムースに進んだ。囲った中に果たしてうまくタケノコが
芽を出すか、そして保護できるか、不安と期待が交錯する。

○ ヤマユリ保護ネット張り
  豊英島に夏を告げるヤマユリの開花が見られなくなって久しい。食害の可能性もあるのでネットで保護することにした。場所は最もヤマユリの分布が多く日当たりの良い森の入口(座標坑4-14-2の中間地点)面積は約4b×2b、約10本のヤマユリを緑色の工事用防風ネットで囲む。高さ約1.8メートル。ウサギなども侵入出来ないよう裾を丸太で抑え、合わせ目を針金で縫い合せ。この種作業は体育会系?揃いの「千年の森」の得意分野らしく瞬く間に出来上がる。森の表玄関の景観を妨げるが、植物保護のため我慢。もし原因が食害なら、この夏はヤマユリの大輪が復活するか?ヤマユリ復活作戦に乞うご期待!

○ キノコホダ木移動
 広場近くのホダ場からは、今年全くシイタケを収穫することが出来なかった。そこでテストを兼ねて、ホダ木の環境としてもっと適切な場所に一部を移設した。移設先は、巨木林の今年春に設置したホダ場の近くで、樫の木や常緑樹があり、冬場でも直射日光は当たらない。移設本数;15本、Lot No ,S0403,  ムカデ伏せ。このホダ木からシイタケが発芽するのを期待している。

マダケ保護ネット張り ヤマユリ開花(復活)を願って ホダ木の移動


○植生調査
 
吉原先生参加で巨木林やホテイ岬先端の水際まで未確認種を主に探す。以前から気になっていたコバノガマズミを確認、さらにササバギンラン、マツブサ、クマヤナギ、ウコギ、スノキ、ノダケなど多くの種を見つけることができた。しかし予定していた桜の同定は樹高が高いために葉の採取ができず、同定に必要な要素である花の時期ではないことなどで懸案の解決は先延ばしになってしまった。
 千年広場で新たにアカネが発見された。島の外にはいくらでもあるので人間が持ち込んだものかも知れず喜んで良いのかどうか。冬の間は明るかった島もこの時期になると林床は光が不足しているせいか個体数が少ないうえ、成長不足で確認作業が大変難しい事をあらためて実感する。
 
なおマダケ林横のコクランの群生地がマダケ保護ネット作業で踏みつけられてしまったことは、作業班との連絡不足、現場標示・注意の不徹底を反省するできごとだった。
 この日の新発見種はアカネ1種、再確認種はクマヤナギ、ウツギ、アズマネザサの3種。 豊英島の累計出現種は297種、05〜07年調査未確認種は78種となった。

昼休み植物教室 食害にあったキンラン

 
○ トビの営巣観察記
 千年の森に今年もトビが営巣した。連続3年目。3/28に最初の卵1個を確認。1ヵ月後の4/28に2個を確認。5/3には2羽のヒナを確認した。今年は吊橋通行規制のため営巣初期の細かな観察に制限はあったが、何とか2羽のヒナの確認までこぎつけた。しかし後生まれと思われるヒナの動きが心配であった。5/10、残念ながら巣の中のヒナは既に1羽のみになっていた。やはり1羽は死んで、親鳥が処分したものと思われる。5/20、1羽ながらヒナは元気に育っている。1羽になって2羽の時よりも成長が早いように思われる。足も嘴も大きくなった。
 観察中に驚いたことは、卵がまだ1個の時に、巣の中に大きな魚がドサット持ち込まれた事だ。抱卵中に、親鳥が自らのエサにしている。魚はヒナのエサだけではなかった事が確認できた。(高橋忠友)