2006年11月の活動状況

ちば里山センター技術研修実施報告

日時:場所:11月19日(日) 
場所:豊英島において
主催:ちば里山センター主催(当会共催)
講習名:技術研修(安全な作業V)
講習内容:安全の基本的講義、チェーンソー点検整備、伐採研修
講師:林業サービスセンター木村正敏氏・ちば里山センター事務局長 森 浩也氏
受講者:28名(当会15、鴨川里山を守る会6、いちはら里山クラブ3、その他4)


雨の中、完全装備で安全作業研修 まずはテキストで基本を

安全講義(10:00〜11:00)

具体的な事故事例などを挙げながら、テキストで原則を確認する講義で、それぞれの事故防止ルールがなぜ必要なのかよく実感できた。主な例示は、以下のとおり。
豊富な話題、明るく明瞭な語り口に、寒さも忘れてみな聞き入っていた。
   服装、笛の携帯、体調管理など基本的なことがまず大事である。
   当日の天候、森林の状況などとともに、参加者が多いことも危険要因である。
   かかり木の処理を自己流で長年行ってきて、事故に結びつくことが多い。
   チルホールなどの安全用具は重く、時間もかかるので、つい手抜きをして事故になる。   全員が安全認識をしっかり持ち、作業者に安易な選択をさせないことが大事。
   ロープでも滑車を複数使えば、半分の力ですむ。
   受け口を切るときは、ひざをついて安定した姿勢で。
   追い口切りのチェーンソーの角度を調整するため、受け口に棒をはさみガイドにする。   ツル(切り残す部分)がちょうつがいとなって伐倒方向を決める。ツルをきちんと残す  ことが重要である。
○ 抜け防止のためには、芯を突っ込み切りして、ツルを左右に分けることも出来る。
   伐倒してからも危険は沢山ある。力のかかっている枝の処理に神経を。
   枝払い、玉切り等の作業は必ず斜面上部から。上下同時作業の禁止。

チェーンソーの点検整備と目立て(11:00〜11:30)

毎日の点検整備として、エアクリーナーの清掃、チェーンを外してバーの上下(表裏)反転(片減り防止)、チェーンオイル口の清掃などを行った。毎日行うべき基本的な作業であるが、「エアクリーナーの開け方がわからない」、「初めて掃除した」、「なるほど・・」などの声が飛び交い、いかに普段無頓着に使っているのか思い知らされた。
 今回は、目立て角度を一定に保つためのチェーンソーの置き方、体の位置とヤスリの持ち方など基本的なところから懇切丁寧な説明を受け、「なるほど納得」といった表情が多く見られた。


エアクリーナーの位置は 正しい目立てが安全の基本 バーの上下(表裏)反転


伐採研修(11:30〜13:15)

木村講師がまず、一番太い二股木をチルホールを使って重心方向とは反対側に伐採した。その後、各班ごとに協力して1本ずつ伐採した。状況によりチルホール利用、ロープ牽引、くさび打ち込みなどを使い分け、さらにかかり木の処理にフェリングレバー(木回し用具)なども実際に使用し、状況による手法や道具の使い分けを学んだ。

木村講師の基本どおりで無駄のない動きには感嘆の声が上がったが、参加者の方は、チェーンソーの操作に気を取られるあまり、指差し呼称、避難場所の確認など基本がおろそかな者も多く、完全に身に付くまでの道のりは長い。

 なお、今回の伐採は巨木林エリアで、他の樹木と競合しており、密度管理、照度管理上伐採が必要と思われるコナラ及びカシを伐採した。いずれも樹齢50年程度で、胸高直径20〜30センチ程度であった。

ロープの中は危険域 木村講師の模範作業はさすがに完璧
クサビの方向は正しく! 冷えた体をキノコ汁で暖める

今後の方向・課題など

 この研修の大きな目標は、広葉樹の高木の安全な伐倒技術の習得であり、チェーンソーの手入れの基本、受け口・追い口など伐木作業の基本を学習し、その後、チルホールやロープでの牽引による広葉樹高木の伐倒指導を受けた。
 かかり木処理については、フェリングレバーで対応する一例しか経験できなかった。受講者には提供された資料に十分目を通し、不足分を補って欲しい。
 この種の技術(技能)も研修を受ければOKというものでなく、実作業の経験を積み重ねていくことが必要であり、ベテランの管理下で安全な作業から順次初心者も経験を積めるようにして、会としてのトータルの能力を上げていきたい。(S)

 安全の為に使用するチルホールでも、その操作を誤ればやはり危険が増大する。道具類も大切であるが、作業の難易度を見極める目も必要になる。また高度な作業を支えるためにはその前段となっている様々な知識・技能の積み重ねが不可欠。
 まずは今後も研修を実施して作業者全員が基礎的な知識・技能をきっちり身につける必要がある。その上で今回の経験を素に伐採作業のマニュアルを改定する作業がある。
 ここで千年の森の実情に即した伐採方法やルールを明確にしたい。(N)



 

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